静岡県下田市にて、毎年 8 月恒例のキャンドル カフェが今年は 1~3 日に行われるとのことで、2 日の土曜日に行ってきました。

TV アニメ「夏色キセキ」にて、初めて下田を訪れたのが 2012 年。作中で描かれていたキャンドル カフェを見に行きたいと思うも、一昨年はタイミング悪く夏風邪でダウン、去年も都合により行けずと悔しい思いをしましたが、ついに今年はチャンスが巡ってきた!

…と思っていたのですが、この日は早朝から他作品の舞台探訪もしつつ下田に向かうつもりが、寝不足続きで盛大に寝坊。すでに日差しは高く気温は殺る気マンマンです。

青春 18 きっぷ入鋏印しかし、毎年行われているとはいえ、もしかしたら来年のキャンドル カフェは雨で中止になるかもしれないし、何より来年の私が行ける保証はどこにもない。ならばどうするか? もちろん、照りつける太陽に抗 (あらが) い出かけるのみです!

国府津海岸かくして私は、手持ちの青春 18 きっぷの残りを手に、東海道を下ることになりました。この時すでに正午近く。そして途中ダイヤ乱れに翻弄されつつも、まずやってきたのは JR 東海の縄張りである御殿場線と接する、国府津 (こうづ) 駅。ここはアニメ「ラブライブ!」2 期 11 話でμ's が重大な決断を下した海が、駅の前にあります。

ウィルコム解散もとい合併…じゃなかった、μ's 決意の地ナウそして、海水浴シーズンにもかかわらず人影まばらだった国府津海岸で、旅するイエデンワを始めるワタクシ。何をやってるんですかね? そういえば、ここでμ's も重大な決断をしましたけど、PHS のウィルコムも今月、解散もといイーモバイルと合併という決断をしましたね…(すごくどうでもいい)。

証明写真機浜辺を後に、国府津駅前で写真を撮る機械の写真を撮る (ラブライブ! に登場した証明写真機の撮影) という、傍目には怪しい以外の何物でもない作業を終えると、再び東海道線に乗車。

白糸川橋梁 1国府津から下って 4 駅目、東海道本線唯一の無人駅、根府川 (ねぶかわ) で降り歩いて向かったのは白糸川橋梁 (きょうりょう) です。この鉄橋、かつて「撮り鉄」には有名な東海道線の撮影スポットでしたが、1986 (昭和 61) 年に起きた山陰本線の余部 (あまるべ) 橋梁列車転落事故を受け、現在は強風対策のフェンスが設置されてしまいました。しかし、そのような場所柄もあってか、TV アニメ「RAIL WARS!」の 4 話では冒頭から登場。

白糸川橋梁 2列車の撮影には適さなくなりましたが、間近で見ると、真っ赤に塗られた骨組みが青い海と緑の斜面に映え、とても美しい鉄橋です。

駅に戻ると、なにやらラブライブ! のねんどろいどを手に写真を撮る先客の姿が…そう、ここ根府川は先ほどの国府津海岸から穂乃果たちがやってきた駅。実際にアニメ各シーンで描かれていた背景とカメラの構図を合わせてみると、その再現度の高さに驚かされます。構内の注意書きなども正確に描かれており、11 話制作に当たってはここまでロケハンに来たものと思われます。

しかし、こんな都内から離れた駅をラブライブ! に登場させたのはなぜでしょうか?

根府川駅その答えとなるのは今日あの場所で海を見たのは、私たち 9 人だけ。この駅で今こうしているのも、私たち 9 人だけというエリーチカこと絵里の台詞です。駅に 9 人だけにするには、係員のいない無人駅でなければなりません。ちなみに海の家や屋台といったものが皆無のためか、私が訪れた際の国府津海岸には海水浴客もほとんどいませんでした。多くの作品で海といえば登場する江の島などは、オフ シーズンでもサーファーなど人が絶えません。μ's だけを演出するには、根府川と国府津海岸は相互の距離からも好都合だったのでしょう。

オレンジ ビーチさて、根府川の次は、熱海で伊東線に乗り換え、やってきたのは伊東駅。ここで RAIL WARS! 4 話登場カットの回収再開です。ホーム上を適当に撮ってる間に、ちょうど作中に登場した特急踊り子の 185 系がやってきたので、それも撮影。駅から徒歩 5 分の伊東オレンジ ビーチにも行ったのですが、この日は台風接近の影響で風が強く、巻き上がる砂ぼこりに負け早々に退散。

キャンドル カフェ IN 下田割引往復乗車券駅に戻ると、前日に下田キャンドル カフェの 3 日間限定で割引往復乗車券を販売中という情報を得ていたので、物珍しさもあってみどりの窓口で購入しました。そして、いよいよ下田に向け伊豆急に乗車。

本日の最終目的地、伊豆急下田に着くと、すっかり日は暮れ真っ暗でした。改札内窓口で切符を提示し、なんとまだ配布していた夏色キセキのポスト カードを受け取ると、まっすぐキャンドル カフェの会場へ。

そして到着したペリー ロードはキャンドルの光にあふれ、たくさんの露天が並び、行き交う人々で賑わっていました。やっぱりというか、カップルと家族連ればかりで、ちょっとセンチメンタルな気持ちで私はカメラのシャッターを切っていましたけれども。

キャンドル カフェ 1 キャンドル カフェ 2
キャンドル カフェ 3 キャンドル カフェ 4
キャンドル カフェ 5 キャンドル カフェ 6
キャンドル カフェ 7 キャンドル カフェ 8

家を出たのが遅すぎ、さらに寄り道も繰り返したので、あっという間に近づく東京方面終電の時間。この日は最後に、夏色キセキにも外観の登場したペリー ロード沿いの喫茶店ペペにてカレー ライスをいただいて帰ることにしました。ここも私の訪れるタイミングが悪く毎回定休日だったので、以前から来てみたかったのです。

ペペのカレーお店の方はもちろん、アニメについてはご存じ。私が 2 年ごしの念願かなってキャンドル カフェに来たことを話すと、実はガルパンの大洗に行ってみたいと思っている (笑) など様々な話をしてくださり、中でも印象的だったのはまとめブログの「ご当地」アニメの成功と失敗について。いわゆる「円盤」の売れなかった下田は失敗の分類だった事を気にされていたのですが、単純にその売り上げだけで成否を決めつけていた記事には、私としても強く違和感を感じました。だって、今もファンは下田に集うし、有志の企画列車の運行に、作中に登場した伊豆急も協力してくれる。都内の大手私鉄じゃこうはいかないだろうし、そういう地域の活動を無視して BD/DVD セールスだけで評価するのはどうなのか。

しずおかコーラ夏色キセキについては確かに一部ではネガティブ評価もありましたが、私が思うにそれは関心の裏返しだと思うのです。逆に言うと「ご当地」最大の敵は無関心であり、無視され忘れ去られること。これだけ数多くのアニメが放送される昨今「ああ、そんなアニメもあったな」と知られ、ひっきりなしに新しい巡礼者は訪れなくとも、根強いファンがいる。それだけで、作品が生まれ、放送されたことに意味があるのではないかと、自分は考えたいのです。だって、そうでなければアニメから 2 年も過ぎて下田に来る物好きなどいなかったんですから、私のように! どうやらペペのカウンターに座っていた私の隣も同業者さんだったみたいですし。

アニメと地域の関係、その評価の難しさを感じつつ、これまた夏色キセキに登場した駅前のローソンでしずおかコーラなる飲料を見つけ、それを手に本日は伊豆急下田を離脱。今度はもっとゆっくり、暮れゆく空に映えていくキャンドルを日没前から見たいな…できることなら、一緒に歩いてくれる、彼女を見つけて。

…などと思いながら瓶を傾けた、緑茶成分を含むしずおかコーラは甘さの中に、ちょっと渋みがあったような、そんな気がしました (おわり)。